| 「子ども時代から入っていた芸能界は、やはり、競争の世界。でも、私はどちらかというと昔から職人気質。モノをつくったり演技をしたりすること自体は好きだったんですが、スポットライトを浴びて、赤い絨毯の上を歩くことをそれほど魅力には感じていなかったんです。それにどこまでいっても女優は旬のもの。たとえ一瞬、すごく輝けるときがあっても、持続させるのはとても難しい。しかも売れたり、お金が手に入ればそれだけ欲も強くなる。もしハリウッドでそれを持続させようとしたら、日本も家族もすべて見捨てなくちゃいけない、そう思ったら、それに固執する理由はどこにあるのかなって。
“持つものを持たず”生きられる人って、ある意味では一番幸せだし、その人がそれで幸せなら“不変な幸せ”を見つけられたことになると思っているんです。物を所有したり、何かに固執したりすると、必ず人って代償を払わなければいけないというところがあると思いますし。 |
![]() |
![]() |
もちろん、自分の人生を振り返ってみれば、人に負けたくないと思った時期や、ここまでは登りつめたいとがんばった時期もありました。 でもあるとき、アメリカの友人の農場にしばらく滞在したことがあったんです。その生活が自給自足に近いスタイルで…。それを体験したとき、価値観が少し変わったような気がします。その後、母の身辺に変化があり、どうしても放っておけない、大切なものはアメリカにあるわけじゃないという想いが強くなったんです。 富士宮での生活をはじめてからは、食べていけたらいいじゃない、というスタンスです。本来、仕事ってごはんを食べるための一つの手段に過ぎないはずなのに、仕事自体が自分の人生になりかけていた。それに気づいたんですね。必要最小限のものがあれば幸せ、そう感じられることが幸せかなって。 |
そうは言っても、今も仕事で悔しい思いをすることはあります。でもまぁそれもいいかなと(笑)。だって、こういう生活がしたくてしているんだから、と思えば割り切れるし、この生活が好きだから。
私、こうして暮らしはじめてから、あんまり旅行に出かけたいとも思わなくなったんです。家の方が心地良くて。もともと家好きだったこともありますが、家を快適な空間にすることは、私にとってすごく大切なことなんです。中でもキッチンとお風呂は大切にしている場所。この二つが良い住まいって、素敵な暮らしが出来る場所だと思っています。
'00年に公開されたハリウッド映画「ヒマラヤ杉に降る雪」でのオフショット。
|
工藤さんのお気に入りのリビング。天井まで広くとられた窓からは、富士山を見渡せます。歌好きの仲間とここでカラオケを楽しむことも。
|
東向きの窓からは、朝日と富士山を見ることが。畑で収穫した野菜は、自分で料理。この日も予定にないお味噌汁をパパッと仕上げて。
|
畑では何十種もの野菜が育てられている。「自分で作った野菜は安心して食べられるし、なんと言っても新鮮で美味しい!」
|